短編小説
無題2作:紫音
「おそるべきぼくの詩的霊感はまったく涸れることがない!
それは、ぼくの不眠をなやます狂った悪夢を常食としているからだ」
「マルドロールの歌」より
君達に妄想の中にしか生きながらえることのできない私の膿汁でべとついたぬばたまの夢の一つを開陳しよう。首の辺りまでどっぷりと毒に漬かった諸君らの脳漿が少しでも波立つことがあれば幸いである。
無為徒飲の連続のとこしえに明けぬ夜が、私の手を捕らえて暗い螺旋階段の果てへと突き落とした。
そこは赤であり灰色であるような四方壁のバラックで、粗末なパイプ造りの椅子に、若い男が暴れてもがく幼女、それも白痴の子を拘束衣で締めあげて押さえ込んでいる。そして短刀で幼女の下腹部だけが露わになるように一部を切りとり、目の下までファスナーを上げられて窒息せんばかりの幼女の足の間に割って入って犯すという凄惨な行為が延々と続くのであるのだが、特筆すべきは、その男と白痴の幼女は、二人ながら私自身なのである。男である私は酷く狂おしく盲滅法に幼女を突き上げることに異常な興奮を覚えており、メリメリと幼い膣を裂くペニスの超暴虐の快感に忘我の状態である。他方、白痴の幼女の私はただ怯えて叫ぶ力すら既に失い、拘束衣に息苦しさを感じ、何をされているのか解らないながらも死ぬほどの激痛で、股に鉄杭を打ち込まれていて、串刺しにされてどうすることも出来ずに殺されるのだと思っている。
男の私のサディズムには歯止めがきかず、電波のようなもので悪い友達を10人位呼び出して、地獄の折檻にただれて血と白濁の毒液まみれの穴に代わる代わる突っ込ませる。一人が果てても間髪を入れず次の男が息を荒げて入ってくる。それを高笑いしながら見物し、己の突起をしごく男の私の手が止まり、充血していた頭から血の気が失せた。悪友の一人の、焦茶色のスーツの男が如何なる気紛れか、几帳面なまでに巧妙な愛撫で幼女の私に甘美な絶頂を与えてしまったのである。男の私は彼奴の背後からアイスピックでメッタ刺しにする。赤い飛沫がそこかしこに染み込む。いよいよ羅刹と化した男の私は他の友人たちを追い払った。そしてかたく握りしめたアイスピックで幼女の私の拘束衣を引き裂き、虫にくわれた枯葉のような姿になり果てたものを、顔といわず腹といわず痛烈に殴打し、体温のなくなった肉塊に短刀を入れ、ひんやりとした内臓に手を突っ込んで掻き回し、ずるずると引きだした。細い腸を愛おしむように自分の体に巻きつけ、猛り狂った陽物にかぶせて腸を犯して、犯して、犯して………………。
ふいに醒めて現実に引き戻された私は現実以上に生々しく残る肉体感覚に興奮さめやらず、狂ったように何度も何度も自涜にはまり、溺死体のようにぐったりとしている。
私が私を犯す、この妄想で幼児回帰妄想と男になりたい妄想とが全き形で符合した。
私の中のサディストが鎌首をもたげ、獲物をねめまわす蛇のような無血の目で鏡を覗き込む。と、小動物の、何も映らぬガラスのような目の、生きていることもこれから殺されることも知らぬ気な顔の私が映っている。
FIN
あとがき 皆様へ……
「白痴」「盲滅法」等の表現に問題がありましたら「知的障害者」「視覚障害者的滅法」に置換してもいいですよ。
いやぁー、夢って本当にスバラシイですね。
それでは来月(?)お会いしませう。
サヨナラ・サヨナラ・サヨナラ